Société d'histoire des relations nippo-françaises

会長 あいさつ

 

 戦後日本におけるフランス関係の研究会活動は、1950年頃から日仏会館を拠点として講演会、研究発表を一般公開して活発に開始されることになりました。そこから多くの関連学会が新設、創立されていきました。その気運は平和の喜びと戦争の焼け跡から立ちあがろうとする日本人の希望を反映したものであったでしょう。
 そうした流れの中で本学会も1971年に創立され、数多くの先輩先達たちの手で育まれ、研究発表の月例会と紀要『仏蘭西学研究』の発刊、全国大会という主要な活動を展開してまいりました。このたび、2018年6月をもって学会長をお引き受けすることとなり、学会の発展と次世代の育成に寄与していくため、関係のみなさまとともに尽力していくことになりました。
 学会の研究発表はこれまで、幕末・明治近代の日仏交流を中心に行われてまいりましたが、時代の要請はそこにとどまらず、日欧交流を踏まえた複眼的な視座に立ち、日仏交流史をとらえ直すことを求めるに至っています。また前大戦前後から現代にまで研究対象の幅が広がるのは必然でありましょう。歴史学とは元来、総合的な人文学研究を目指すものと理解します。日仏・日欧交流の歴史もまた、新たな視点で見つめ直し、掘り起こすことが求められています。私が学界出身ではなく、ジャーナリズムで日仏関係にかかわってきた者であることも、本学会の研究分野を横断的に検証していく一つのきっかけとなるのかもしれません。会員のみなさまと本学会の新たな歩みを刻んでいく所存です。

2018年12月  日本仏学史学会会長 池村 俊郎

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