【第516回 例会のお知らせ】
日 時:2025年3月29日(土)14時〜16時30分
会 場:日仏会館501号室
報告者:池村俊郎(学会会長)、中山信子(学会理事)
演 題:「戦時下パリにおける日本映画『田園交響楽』上映ー小松清の日仏文化交流」
発表概要
1939年9月に戦端が開かれた欧州戦争は、ナチ・ドイツ軍のポーランド占領以後、独軍と仏英連合軍が西部戦線でにらみ合う「奇妙な戦争」(仏)「まやかし戦争」(英)といわれる情勢が続いた。まだ”平穏”であったパリで、1940年アンドレ・ジッド原作の日本映画『田園交響楽』(監督山本薩夫、主演原節子)の大規模な試写会が実現する。上映が日本映画、現代文学、伝統文化の本格的な欧州市場紹介の端緒となりかけたとき、パリ陥落の悲劇が目前に迫っていた。劇的な状況下で上映を仲介した小松清(文芸評論家、翻訳家)は、文化を将来の日本の国家アイデンティティに、と夢想した人物。小松とマルロー、ジッドら仏知識人たちとの交流をたどり、一本の日本映画上映というドラマが投げかけた意味を考えます。
その『田園交響楽』(1938年日本公開)は国内外においてどう受容されたのか。監督山本薩夫の業績と足跡や、女優原節子とドイツ、フランスにまつわるエピソードなどを紹介する。また、1938年、仏映画専門誌が初めて東宝制作『田園交響楽』をどう批評、解説したか。日本軍の仏領インドシナ進駐に伴い、サイゴンで公開される映画のその後までをたどる。併せて、『田園交響楽』の映像の一部を上映します。
発表では前半を池村、映画の解説と紹介を中山がそれぞれ担当します。